取消審判とは?
「取消審判」とは、登録商標が使用されていない場合等に、特許庁にその商標権の取消を求める審判をいいます。
審判においては、3名または5名の審判官の合議により、取り消すべき理由があるかどうかを判断し、審決を下す。取り消す旨の審決(取消審決)が確定 した場合、商標権はその後消滅する。つまり、取り消しの時点までは、商標権は有効なものとして取り扱われる。この点が、商標権が初めから無かったものとさ れる無効審決と異なる。
なぜこのようなこととなるかと言えば、無効審判が、商標が登録されたこと自体に誤りがあったことを判断するものであるのに対し、取消審判は、商標が登録されたことを問題とするのではなく、登録後の行為(たとえば、不使用、不正な使用等)を問題とするものだからである。 取消審判の審決(取り消す旨の審決、取り消さない旨の審決の何れの場合でも)に対しては、知的財産高等裁判所(東京高等裁判所の特別の支部)に対し、その審決の取消を求める訴訟(審決取消訴訟)を提起することができる。
取消審判としては、不使用に基づく取消審判(商標法50条)、不正使用に基づく取消審判(商標法51条、53条)、代理人等による不正登録に基づく取消審判(商標法53条の2)がある。
最も代表的な取消審判は、不使用に基づく取消審判である。これは商標権者が継続して3年以上、登録商標を指定商品に使用していないとき、他人がその商標登録の取り消しを求めて請求できる。
不正使用に基づく取消審判は、商標権者や使用権者が、登録商標やこれに類似する商標を不正に使用して、商品の品質の誤認などを引き起こして一般公衆を害したような場合に、その制裁として、他人がその諸表登録の取り消しを求めて請求できる。
代理店等が、本国の商標権者の承認を得ずに商標登録を得た場合には、当該本国の商標権者は、代理店等による商標権の取消を求める審判を請求することができる。